35年前の意思伝達装置

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ワタクシ,その意志引き継ぎます!
出雲国出雲市にてご夫婦で暮らす榎本さん。
今はパーキンソン病が進行して,ぼんやりする時間も増えてしまったそうです。

ほんの数年前までは,出雲国大学医学部で研究のお仕事をしていました。
優秀な研究者だったといいます。
奥様も博士号をもつ才女。

先日,ご自宅を訪問した際に,一本のほんの短い論文のコピーをいただきました。
35年前に論文誌に掲載された,今でいう意思伝達装置に関するものです。
AACという用語も一般化されていなかった時代に,榎本さんはALSと思われる患者さんのためのソフトウェアを作りました。
大学病院という現場にいたからこそのアイデア。
当時は高額だったマイコン(パソコン)を使ったシステムです。
分かる人にはわかる,シャープ MZ-80!

特筆すべきは次の記述でしょう。

(中略)女性は一般に機械に弱いためか看護婦のほとんどはパソコンの操作を苦手とするらしい。ベッドサイドで使用する機械はコンセントに差し込んでパワースイッチを入れたらすぐに動くものでなければならないことを強く認識した。

当時のパソコンの操作はコマンドライン入力によるものでした。
つまり,今のようにマウスで簡単に使えるものではなく,キーボードで文字だけを入力して操作するものでした。
今でも挫折する人は多いでしょう。

このような時代にあって,意思伝達のシステムを作ったのですから,その意志は相当に強いものであったに違いありません。
そして,今,ご自身が意思伝達装置が必要になっています。
決してその思いは無駄にはしたくないと強く思わざるを得ません。

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