原風景の引き継ぎ作業

By | 2017年5月4日

私の原風景は,何と言っても岩手県南部の千厩町~気仙沼・陸前高田のエリア。
「千厩」,未だに書けないですが。

母親の実家が千厩町(現在は一関市)だったことから,中学生くらいまではお盆休みくらいには毎年行っていました。
当時住んでいた江戸中野区はあまり自然が無かったこともあり,このエリアでの様々な体験が幼い頃の原風景として染み付いています。

夏草を刈った時の匂い,夜に鳴き出す虫の声,冷たい井戸水の味,田んぼの甘い匂い,汲み取り式トイレの恐怖,ちょっとかび臭い布団,蔵の土壁がボロボロになった質感,寒天の甘いゼリーみたいなお菓子のまずさ,なぜかタクシー運転手や郵便局の配達員が居間にいる違和感,テレビのチャンネルが少ないこと,テレビCMが静止画なこと,おじいちゃんや叔父さんのタバコの臭い,夕方のヒグラシの鳴き声,轍のある砂利道の散歩道,お風呂を沸かす石油ボイラーの音,台所のハエを絡め取る粘着テープの気持ち悪さ,外にいるとどこから漂う家畜の糞の臭い,農薬を散布するヘリコプター,千厩駅でもらう硬い硬い切符,ディーゼルカーの大きなエンジン音と排ガス臭,窓を全開にできるディーゼルカーでのドップラー効果を感じる踏切の音など 書ききることはできません。

どれも江戸では体験することができなかったのです。
その中でも,ほんとうに楽しい思い出の原風景になっているのは,気仙沼と大島を行き来するカーフェリーでの記憶です。

かっぱえびせんに群がるウミネコたち。
ちょうど飽きた頃に見えてくる大島。

震災後はじめての乗船になったこの日(2017年5月3日),ムスメらに大島フェリーの体験を引き継ぎました。

気仙沼と大島は平成30年度に橋でつながるようです。
すでに橋は架けられ,あとは周辺道路などの整備が残っているとのことでした。
これが完成すれば,フェリーはもうなくなるのでしょう。

大島のフェリーのりば近くのお土産屋さんは,津波で全部なくなってしまいました。
もちろん気仙沼の街並みも激変。
どこを取っても昔の気仙沼や大島ではありませんが,2歳と4歳というタマシイが柔軟な時期にほぼ共通の体験を提供できたことを嬉しく思いました。
将来,何となく覚えていてくれたら感動だな~。

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