お医者さんの対応でちょっと困ったこと。私がわがままなのかな。

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3月6日,主治医の診察日ではありませんでしたが,やや息苦しさや息が上がりやすい症状が出ていたので,前日に予約して岩手医科大学へ外来診察に行ってきました。担当になったのは曜日の関係で主治医ではない医師。私の希望としては,進行した肺がんの症状のひとつである「胸水」を抜いて欲しいというものでした。しかし,それは叶いませんでした。明日あさっては秋田盛岡での講演。そのため,少しでも身体を楽にしておきたかったのです。来週はこの岩手医科大学の講演,来週末はおととしからの約束だった東京での講演もあります。

しかし,もっと困ったのは主治医と今日の医師の治療方針がまったく異なっていたことです(具体的には後日報告します)。そして,今日の医師は胸水を抜くのなら明日からの入院!といいます。当たり前のように私の用事などは中止にしたらいいでしょうとのご意見。さらには入院期間は2週間かもしれないという。。。主治医は,これまで外来での処置で済ましてくれていましたし,当面の予定を立てやすいようにしてくれていました。これまた,同じ医師でもずいぶんスタンスが違うものだと感じました。それが起き得ることは頭では理解できますが,現実に自分のこととして突きつけられるとけっこう焦ります。加療的な側面だけから見れば,今日の医師が正しいのかもしれません。ただ,私にも最低限の用事というものはありますし,ずっと前からの約束だったらどうしてもこなしたい気持ちもあります。医師から見れば,私の用事などどれも野暮用に思えるのでしょう。現在は病気休暇を取っているので,もちろん治療を最優先にしていますが,それでも無理のない範囲で治療以外の用事をこなしたいという希望はあります。これは,私のような深刻な病気になった人にはわがままな希望なのでしょうか。

また,何度も「~の場合死にますよ。」「~の治療は意味がないですよ。」を軽々と言ってきます。ほうほう中々の直球!ここまで率直にいう医師ははじめてでした。そんなコメントの時,かたわらにいる医学生と思われる女子学生がメモとる手を止めてうつむいていたのが印象的でした。次々に告げられる過酷な話。今の時代,患者側もかなりのことはネットや書籍でわかっているのに。正直なところ,今日の医師の対応には心が折れそうになりました。

でも,これも生きているからこその経験&体験。トータルで見れば悪いものではないでしょう。どんな人生でも受け入れる気持ちはありますが,こういった医師にも何か問題があるように思えて仕方がありません。もし,私が医師だったらどう言うのかな,パッチ・アダムスならどんな診察をするのかなと思いを巡らす自分がいました。そして同時に,私はけっして誰かに対して同じような思いをさせてはならないと強く思いました。きっと,医師でなくても人を絶望させることは可能ですから。

さて一方,多くの方から講演の依頼や面白そうなプロジェクトのお誘い,さらには私の希望であった書籍出版への具体的なアドバイスなどをいただき,もうほんとうに感謝しております。いまのところ,リンパ節や他部位への転移はありませんし,胸水による息苦しさ以外は快調。むしろ食欲があって太りだしたくらいです。これは,運動量が減っているせいもあるかもしれませんが。

人生には何が起きるかわかりません。だからこそおもしろいし鍛えられる!強がりと思われるかもしれませんが,自分をロールプレイングゲームの主人公に見立てて,旅の途中で面倒なイベントが発生するのは勇者の宿命だと思ってはりきっております。

(写真は直近のキイトルーダ点滴のときのもの)

お医者さんの対応でちょっと困ったこと。私がわがままなのかな。” に対して5件のコメントがあります。

  1. おそどまさこ より:

    淡々と、でも素直なご執筆、心にしみました。人はどんなに重度の障害があろうと、重病であろうと、主体的に生きていく権利があると思います。それに寄り添うのが医療、看護、介護でなくてはならないと思います。
    伊藤さんの考え方を全面的に支持いたします。
    自分の人生ですから、ご自身の意思を貫くことをおすすめしたいです。ファイト!

    1. Fumihito ITO より:

      ありがとうございます。
      病気になったからこそ気づけたこと理解できたことがたくさんです。

      まさこさんがおっしゃるように、主体的に生きることがとても大事ですね。
      その言葉、いただきました!

  2. 昔々から医療の務めは
    「防ぐ・治す・帰す・和らげる」
    の四つです。治療はもちろんですが、新たな疾病や合併症の予防、リハビリテーションをはじめとする社会や家に帰るための医療、緩和医療と呼ばれる様々な苦しみを和らげる医療も提供されてきました。
    そして、すべての医療の究極の目標は
    「大切なひと、大切なことと、大切なときを生ききる」
    ことのお手伝いです。伊藤さんからいただいた知識や技術、哲学のお返しをさせていただきたいです。

    1. Fumihito ITO より:

      コメントありがとうございます!
      きっとまた奄美に行きますので、その時はまたお会いできればうれしいです。

      1. 勇者の旅の途中に休息の場を提供できるよう、心してお待ちしておりますv(^_^)v

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