【必読】重度障害児の親のキモチ~古川綾子さんの場合~

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NPO法人さくら会年次総会<第2部>での,古川あやこ&ゆりなさんの発表です。あやこさんは,先天性ミオパチーという難病を抱えた娘の就学環境などについて,親としてのブレない視点で発表されました。

以下に,全文を掲載いたします。

ゆりなさん自作の名刺
あやこさんの発表

皆さん、こんにちは。私は古川綾子と申します。そして、娘の結莉奈(ゆりな)です。どうぞよろしくお願い致します。娘からも、ご挨拶させて頂きたいと思います。

「こんにちは。私の名前は古川結莉奈です。6歳です。神奈川県横浜市から来ました。私の好きなことは星の図鑑を読むことです。よろしくおねがいします」

娘の結莉奈は先天性ミオパチーという生まれつきの筋肉の病気で、自分の力で身体を動かすことがほとんどできません。気管切開、人工呼吸器、胃瘻をしています。身体を起こすと呼吸が苦しくなるため、ほとんどの時間をベッドに横になって過ごしています。

口を閉じることができず、舌の動きも乏しいため 発音が不明瞭ではありますが、呼吸器のリークを使って発声をします。慣れていないとわかりにくいため、50音表や先ほどのようなタブレット操作をして会話をします。最近はよりスムーズな発信を目指して自宅で視線入力に力を入れています。

結莉奈がもっと小さいころからこのように会話ができたかというと、そうではありません。表情も乏しく、声もとても小さく、身体も動かない。

言葉や身体は不自由だけれど、「伝えたいのに伝わらないジレンマ」や、「伝えたいけど伝わらないから伝えなくていいや」となってほしくない、どうしたらコミュニケーションをとることができるのか?と強く思いました。

はじめは「こんにちは」と書いてある絵カードを指指しながら周囲の人に挨拶をすると、今まで母親である私とだけ会話していた方々が、直接娘に話かけてくれるようになりました。娘はそれが嬉しくて、もっと話したい思いからひらがなを覚え、言葉を覚え、声も大きくなりました。周りの方々のおかげで、娘を取り囲む言葉のバリアが、少し低くなったと思います。

結莉奈は、生活のあらゆる場面で介助を必要とし、「できない」ことが多いです。ですが、自宅ではAIスピーカーやスマートリモコンを使ってエアコンなどの家電をコントロールし、自分の役割を持っています。「私にもできた!」という自信がいろいろなことにチャレンジする力になっています。

この4月、横浜市の特別支援学校に入学しました。訪問籍だと週に3回まで一回2時間の訪問授業を受けることができます。身体の調子を見ながらですが3回のうちの1回は、スクーリングといって通学をしています。

入学してから感じているのが、教科書を使った勉強の時間の少なさです。訪問授業も朝の会・終わりの会、うんどうなどがあり勉強する時間は、多くて1時間半です。

スクーリングの日は、個別学習の時間を1時間 取れればいいほうです。単純計算で多くて、週に4時間勉強の時間があるということです。もちろん教科書の勉強だけが大切なことではないことは、理解しています。でも、それと、「お嬢さんは身体が不自由だから勉強しなくてもいい」とは違うと思うのです。

算数の自宅学習

健常児と平等に、学ぶ機会を与えてあげたいと思うのです。家庭でも喜んでできるだけのサポートはします。学校も、決められた時間割だけにとらわれない一人一人に適した学習の時間の確保を希望しています。

娘は生まれつきの病気で、知的の問題や発達の遅れもあるかもしれません。娘が通う特別支援学校の生徒さんに対してもほとんどの方がそう思うでしょう。でも、もしかすると、私たちが本人の力に気づいていないだけで、それは、ICTやATによる使いやすいツールで解消することなのかもしれません。

『生徒の可能性を引き出すための支援はこれで十分なのか?』を常に考えて頂きたいと思っています。

テクノロジーの進歩で身体が不自由でもできることが増えてきました。これからは、身体が不自由であることが「できない」ことの言い訳にはならなくなってくると思います。

現状、肢体不自由児の学校卒業後の就職先はほとんどありません。でも、吉藤オリイさんの分身ロボットカフェであったり、これから先 ますます可能性は広がっていくことでしょう。私も、娘には簡単なコミュニケーションで働くことができる機会があれば、と思っています。

でも、もしかしたら、娘は 学校の先生になりたいというかもしれないし、医者になりたいというかもしれない。そして、身体が不自由とか関係なく、そうなれる日はもうすぐそこに来ている。テクノロジーは月単位で進化しているのです。

なのに、教育の現場が数年前とほとんど変わらなくてもよいのでしょうか?子供たちの可能性を信じて、一人一人に最適な支援方法での学ぶ機会を与えてほしいと心から思います。

今、私たちは、たくさんのバリアに囲まれています。バリアの先にいる人と出会うために。同じ“とき”を生きるために。どうか力を貸してください。これから先も、皆さんと共に、たくさんのバリアを超えていきたい。心を羽ばたかせながら様々なことにチャレンジしていきたいと思っています。本日はありがとうございました。

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