【いまさら】支援学校における重度障害児の「就学」あるある問題

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さくら会総会にて

2019年9月15日,アルカディア市ヶ谷にて私も理事をつとめる「NPO法人ALS/MNDサポートセンターさくら会」の年次総会が開催されました。

今回は,14時からの第2部で「伊藤史人先生のおとなも子どももコミュニケーション」と題した企画を立ててもらいました。ここ,ポランの広場でも当事者の参加をお知らせしました。

企画してもらった意図としては,上図スライドのように,EyeMoTの活動を進める中で「支援学校,なんかおかしいぞ!」と感じ,少しでも困った状況を少しでも改善したいと思ったからです。

ここでは,私がお話した10分程の内容を備忘録として記しておきます。

1.そもそもアセスメントが正しくない問題

重度障害児の意思表出方法を担保せずにIQ検査しても意味がありません。たとえば,日本にいる外国人の子どものIQが低いという統計があります。

記事にあるように,これって日本語の指示が理解できていないから,結果としてIQが低くなっているわけです。逆に日本人の子どもが英語圏でIQ検査を受けたら,きっと低いIQになるのでしょう。

同様に,天畠大輔さんの例もそうです(下図参照)。IQだけで,人の能力を知ったつもりになってはいけません。人間の能力は実に多様性に富むのですから。

天畠さんの著書より

2.授業がぜんせん進まない問題

支援学校では,普通学校に比べてイベントの準備にたくさんの時間を割きます。それ自体は悪くないはずですが,あまりにも授業の優先順位が低いのです。

本当は勉強したい,すべき子どもたちが受けるべき教育を受けられていないように思います。カリキュラム編成は頭のイタイ問題でしょうが,もう少し教科の授業の優先順位を上げてもいいかもしれません。

どうやら,教科学習の能力が高くても,学校の都合で低い学年の勉強を強いられている子どもたちがたくさんいます。事実,支援学校出身者には「もっと勉強したかったかった」という人が少なくないのです。

3.子どもへの個別的支援が弱い問題

私たちの生活がテクノロジーの普及で大きく変化しているというのに,支援学校では30年前と変わらない授業を続けている現場が多いようです。不思議です。

支援学校は外部との接点がとても少ないので(避けている?),社会の有用なリソースを使えていません。支援学校教員に「日常生活用具」や「補装具」の制度を知らない人が多いのはそのほんの一例です。

教員の専門性に関しても疑問が尽きません。子どもの障害は実に個別性が強いので,その支援は困難を極めるでしょう。それでも,世の中にある様々な情報を組み合わせ,それぞれの分野の専門家と連携すれば支援のあり方はずっと良くなるはずです。学校や教員たちだけで解決しようとしても,いつまで経っても時代に乗り遅れるばかりです。

さらには,担任の教員が変わると支援内容がガラリと変わり,事実上,引き継ぎが意味をなしていないように思えます。個別支援や授業の内容が,教員の「興味やスキル」に大きく影響されすぎています。支援内容の情報共有を積極的に進めてほしいところです。引き継ぎには動画を多用したり,日常的に外部の専門家とどんどん連携すべきでしょう。

4.「卒業後」は障害者施設や作業所ばかりな問題

世の中ではテレワークやPC等を使ったシゴトが増えているのに,肢体不自由の支援学校では相変わらず「作業所」が主な進路・就職先です。

それでいいのでしょうか? 他に行き先は開拓していないのでしょうか?教員が子どもたちを過小評価して,勝手に進路を決めないでほしいものです。

今の時代,もっともっと就職先が多様であってもいいはずです。もっと言えば,就職せずに自分で仕事を興してもいいのです。そう,起業です。単に手足が動かないだけなら,テクノロジーの活用で何でもできる時代ですから。

もちろん,大学進学や留学だって有力な進路であっていいでしょう。でも,実際の支援学校の現場ではどうでしょう。センター試験の指導さえできない教員がほとんどではないでしょうか。留学経験者もほとんどいないでしょう。これでは,もはや「学校」ではありません。

5.医ケア児の通学には親がいつも付き添う問題

教員も資格を取得すれば医療的ケアが可能です。せっかく制度があるのに,それを活用できていない現状があります。

医ケア児のお母さんにも働きたい人がたくさんいます。教員の負担軽減のためにお母さんを活用せず,授業中は学校で完結してほしいものです。

まとめ

「お前,テキトーなこと言うな!」というご指摘はごもっともです。

すばらしい学校もありますし,志の高い教員も知っています。が,この5年でこれらを感じたこともまた事実なのです。

身体障害があったとしても,可能性の塊である子どもたちです。せめて支援学校では子どもたちを過小評価せず,可能性を常に信じて支援してほしいという思いで記しておきました。

もちろん,私もその一助となるように研究等続けていきます!

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