寄稿文『子どもたちの可能性の「芽」を育ててあげてください』

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miyasukuプロジェクト」の方が,厚生労働省に制度改善の要望を当事者の事例報告ととともに提出しました。 題して「重度障害者用意思伝達装置等ICT機器活用事例報告並びに 補装具費支給制度に関する要望及びICT機器の活用促進のための検討について」

私からは,はしがきとして以下の文章を掲載してもらいましたので,ここに備忘録として転載します。

子どもたちの可能性の「芽」を育ててあげてください』

子どもは国の宝です。どんな子どもにも可能性があります。それは重度障害児であっても。たいへん重い障害を抱えていても,いまあるテクノロジーを積極的に活用することで意思表出ができますし,さらには個性を発揮することさえも可能になります。

世界的な宇宙物理学者であった故ホーキング博士は,人工呼吸器を付けた重度障害者でありながら,目尻に取り付けた小さなスイッチとタブレットパソコンを使って,コミュニケーションのみならず研究をはじめ大学の講義などを支えてきました。彼の輝かしい人生を崩壊させるのは簡単です。スイッチひとつを奪うだけで十分なのです。

現在,ALSなど成人の重度障害者に対しては,「重度障害者用意思伝達装置」として給付が進んでいます。ALS患者さんの多くは社会人経験があり,初期においては認知面の問題はなく,機器操作のみに困難のある方がほとんどです。そのため,意思伝達装置の支給基準を満たすことは難しくありません。意思伝達装置の支給により,実に多くのALS患者さんたちがコミュニケーションの回復を実現し,社会復帰を果たしています。

あるALS患者さんは「それ(意思伝達装置)があるから生きていける。」といいます。国として,こういった装置を積極的に給付しているの事実はたいへん素晴らしいことです。

一方,児童の場合はどうでしょう。特に未就学児の場合は,スイッチ等の利用を開始しておらず,また,ひらがなは未習のことが多いため,意思伝達装置の審査基準を満たさないケースがほとんどです。重度障害児の親は家事や医療的ケアで忙しく,経済的にも余裕のある人は少ないのが現状です。生活するだけでもギリギリの状態ですから,支援機器等の導入にまで手が回らないのです。仮に,支援機器の導入が子どもの将来を強力にサポートしてくれるとしても。

どうか,意思伝達装置をはじめ,子どもが使える支援機器の支給条件について目を向けてみてください。今なら間に合います。世界に先立って,重度障害児が人として生きることのできる社会を創ることができます。すでに,その前例はたくさんあります。ただし,国の支給制度を頼りにせず,孤軍奮闘してきた親たちだけが実現した結果であることは指摘しなければなりません。

もし,国の支給制度が成人のみではなく子ども向けに改善されれば,どれだけの子どもや親が救われるでしょう。今一度,制度の改善の再考を望みます。子どもたちは日々成長してきます。つまり,できるだけ早い改善が望まれます。

島根大学総合理科工学研究科 伊藤史人

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