【日本語訳】改訂・アシスティブテクノロジーを通して重複障害者の生活を向上させる

第2部 アシスティブテクノロジーと制度

アシスティブテクノロジーはどのように助けとなるのでしょう?

障害児の「健康」(5:51 – 6:59)

まず,2001年に世界保健機関が制定した国際生活機能分類,ICFを見てみましょう。

このフレームワークの図は人の健康状態を図るために使われます。

(参考)

ICFの概念は日本人には一見馴染みにくい部分もありますが,実によくデキたフレームワークを提供してくれています。この図を見れば,現状の病院や学校では個人の「健康」のためのごくごく狭い一面しかサポートしていないことがわかります。本来は,「健康」をゴールにしてすべてを考えなければなりません。

カイ君は脳血管障害により障害を負いました。

それにより体が麻痺し,人工呼吸器を必要とします。

話をしたり,おもちゃを掴むこともできなくなりました。

その結果,人に気持ちや考えを伝えることができず,一人孤立した世界にいました。

しかし,ビッグマックのような意思伝達の支援機器を使う環境ができたことで,人とコミュニケーションができるようになり,進んでおもちゃで遊ぶようにもなりました。

活動能力が上がり,参加する機会が増え,そして孤立した世界から抜け出て健康状態も良くなりました。

(補足)

病気の治療や医療的ケアを中心とした処置だけでは本当の「健康」を目指すことはできません。人間として本来切望している活動や社会参加,何よりも人間同士の関わりを増やすことが「健康」につながります。

ATはあくまでも道具にすぎませんが,ほんとうの「健康」を実現するためにはきわめて大切です。それがなければ簡単な意思疎通さえできない人が数多くいるためです。重度障害者であっても「健康」になれるのです。スイッチをフル活用して元気に生活している女性を紹介します。

重度障害児の教育と法律(7:00 – 8:28)

では,法律の話をしましょう。障害者教育法により,障害を持つ子供は無償で適切な公的教育を受ける権利が保障されています。

一人一人がそれぞれのニーズに応じた個別教育プログラムが作られます。

AT(アシスティブテクノロジー)の必要性も考慮されなければなりません。しかしマイケルのコミュニケーション能力を学校が信じてくれるまで9年もかかりました。

(補足)

学校が信じてくれないというのは日本でも同様です。「パソコンが苦手」という教員や医療関係者を前にどれだけの人が絶望を感じてきたことでしょう。

AT を含めた効果的な個別教育プログラムを作るために,親はAAC(拡大代替コミュニケーション)査定のリクエストをすることができます。

また,正式な査定を受けなくても試しに借りて使うこともできます。そのようなサービスをしている学校区やリージョナルセンターがありますので先生やサービスコーディネーターに聞いてみてください。

もしも,ATのサービス提供を学校区が拒否したなら,中立な立場の第三者による査定を学校区の費用で行うよう要請できます。セカンドオピニオンを聞けるということです。

法律の援助が必要ならDisability Rights Californiaが無料の相談にのります。また,TASK(Team of Advocates for Special Kids)も法律に関しての相談にのります。TASKにはアシスティブテクノロジーのセンターもあります。ぜひ試してみてください

(補足)

病院での治療のみならず,教育におけるATの適用についてもセカンドオピニオンが要求できるというのは興味深いです。さすがアメリカといったところでしょうか。

日本では個人の裁量による部分が大きいものですが,個人への信用が低いアメリカにおいては制度によってサービスの質を保つ傾向があるのでしょう。

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