ありそうで意外と無いもの(でもあるんだけど)
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車いすに乗りながらパソコンやタブレットを使おうと思っても,意外としっくるアームや固定具がありません。
車いすのカタチは当然ながら,フレームのパイプ形状・素材や表面加工にいたるまで実に多様。
そのため,クランプの選定が難しいのです。
一番いい方法は溶接してしまうこと。
ただ,アルミフレームには溶接しにくいですし,一度溶接すると取り除くのは困難。
そもそも,売ったところがやってくれなければ保証がなくなることも。
こりゃいかんですね。
ちなみに,スマホを使うために市販品で簡単に済ます場合はこんなものがあります。
すぐに使えるスマホ用アーム一式 (2015年7月18日)
ところで先日,オリイ研究所のオリイくんから「浜野製作所のインターン生が作った車いす用固定アームをみてほしい」という依頼があったので,試験会場のALS患者である嶋守さん宅に伺いました。
こういうのはワクワクですね。
川沿いにそびえ立つ立派なマンションにお住まいの嶋守さん。
嶋守さんは,元外務省キャリアで,その経験を生かして(?)今年,こんな素晴らしい賞をとりました!
ALSと闘い受賞 元外務官僚・嶋守さん 「内田康夫ミステリー」特別賞 (東京新聞 2016年3月20日)
浜野製作所といえばベンチャー支援を積極的に行っている珍しい中小企業。
住宅地にポソッと立地する会社ですが,いつも世間をびっくりさせています。
町工場かっこよすぎ泣いた 江戸っ子1号からベンチャー支援へ 浜野製作所のガレージスミダ(GarageSumida)計画 (週間アスキー 2015年02月13日)
今回試作したものは,市販品をうまく組み合わせたもの。
クランプとPCを載せるプレートはオリジナル。
肝心のクランプは実に簡素ですが,削り出しの部品なのでとてもしっかりしていました。
PCを載せるプレートは美しい工作ではありましたが,やや強度不足かな。
まだいくらか改良する点があるものの,今回の試みはすばらしいです。
たくさん売れるものではないですが,あるとないとでは当事者の生活は大違い。
外出時にコミュニケーションが取れるようになるわけですから。
ぜひ製品化して欲しいですね。
嶋守さんはこの次の日,呼吸器をつけてから初めての外泊で岐阜県へ。
外務省キャリアがはじめての外泊。