視線∩眼電=∞
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Tobii EyeX Controller が開発者版として発売されたのが2014年7月。
海外では,Click2Speak や GazeSpeaker など視線入力対応のソフトウェアが登場しました。
国内ではハーティーラダーがいち早く視線入力に対応。
それ以降,出雲国大学のEyeMoTや安芸国のmiyasuku EyeConなど新しいソフトウェアが続々登場しつつあります。
そんな中,新しい視線入力装置として「トビーPCEyeえくすぷろあ」が発売されました。
価格を含め詳細はよく分かっていませんが,EyeXとはハードウェアレベルではほぼ同じでありながら,ソフトウェアレベルとしては違うものであることは確実です。
というのは,上記リンクでも説明されているように,えくすぷろあ は 視線訓練ソフトの「センサリーアイFX」 が動作するからです。
このソフトは,EyeX では動作しません。
つまり,これは例えは悪いのですが,Windows と Windows RT のような関係を思い起こさせます。
両者はハードウェアとしてはほぼ同じものを使いながら,対応するアプリケーションがまったく違うのです。
現状では,EyeX で動作するアプリケーションはフリーソフトがほとんどであり,ソフトウェアメーカーが製品として開発したものはほとんどありません。
一方,えくすぷろあ は Tobii謹製のソフトの多くが動くようですし,高価であるものの高品質なアプリケーションがすぐに利用できる環境が整っています。
いささかちぐはぐな状況となっていますが,これも視線入力装置をとりまく環境が,未だ黎明期であることを証明しています。
しばらくは,様子を見守るしかありません。
EyeX が徐々に浸透していく中で,えくすぷろあ が登場した理由を知る由もありませんが,EyeX キラーとしての役割を担っているのなら看過できないと言えるでしょう。
さて,広義の「視線入力」を考えれば,眼電位を利用した視線推定も「視線入力」として捉えることができます。
JINS MEME はあのJINSメガネが発売予定の眼電位センサー付きのメガネです。
価格は税抜き39,000円。
なかなか頃合いの価格です。
アカデミック向けのSDKを含む開発者版が50万円ですから,少しお金に余裕のある研究室なら購入できる価格帯です。
おそらく,来年はJINS MEME を使った研究発表が多く出ることでしょう。
眼電位のメリットは何よりもロバスト性の高さです。
過酷な状況でも正確にデータが取得できます。
どんなに頭が動いたって大丈夫。自動車の運転中もデータ収集が可能です。
あまり汗をかかない状況であれば,自転車に乗っていても大丈夫でしょう。
室内なら,取れない状況はほとんどないはずです。
あとはアプリ次第です。
今年7月には JINS MEME を使ったハッカソンが開催されました。
うーん,面白そうです。
重度障害者向けのアプリはまだのようですので,お金と時間に余裕のある研究室はぜひ取り組んで欲しいものです。
キャリブレーションを不要にできますし,簡単な文字盤なら対応できそうです。
ご,50万円があればやってみたいですね。。。