Tobii社製ローコスト視線入力装置の販売規約

Visits: 2147

トビーのローコスト視線入力装置（EyeX・4C）を使う人は一度は読んでおくべきでしょう。
取り急ぎ，重要そうな部分だけ紹介いたします。

原典はこちらです。

• Terms of Sales （Tobii AB）

Terms of Sales

Summary

You can use the Product for development purposes or for your private, noncommercial use only. Do not resell, repackage or redistribute it.

販売規約

要約

あなたは本製品を，開発用途，またはプライベート，非商業的用途に限って用いることができます。本製品を再販，再パッケージ，または再配布しないでください。

そもそも，EyeXは開発者版であるということは，本ブログでも何度も書いていますので，今さらというところでしょう。
しかし，次の規約については，改めて考慮しないといけません。

The Tobii EyeX Controller and its software experience is intended for interactive and gaming applications.
If you want a solution for using eye tracking to study human behavior, please contact Tobii Pro.
If you want to develop software for analytical purposes, post processing or aggregation of eye tracking data across multiple users, please contact Tobii’s licensing team.

Tobii EyeX Controller とそのソフトウェアは，インタラクティブでゲーム性のあるアプリケーションのために使用するよう意図されたものです。
視線入力を人間行動の研究のために使用するソリューションをお求めでしたら，Tobii Proにコンタクトを取ってください。
また，分析目的，ポストプロセッシング，または視線入力データの集約のためのソフトウェアを開発したいということでしたら，Tobiiのライセンス・チームにご連絡ください。

とにもかくにも，ゲーム開発向けということです。
ちなみに，「ポストプロセッシング」というのは，直訳で「後処理」という意味。
これの意味するのは，視線データをたくさん収集してから，その後，特徴や傾向を調査するということでしょう。
「分析目的」とも関係するのは言うまでもありません。
ただし，既存の市販ゲームにも分析的な機能がありますし，実際の線引はなかなか難しそうです。

販売規約は，当然ながらそれを定めた組織の利益を守ることが第一です。
つまり，利益に大きな影響がなければ，ある程度のマージンがあるのかもしれません。

次の使用権についての記述は，まさに「私的」「非商業的」が強調されたものになっています。
安全性に関わる用途に制限があるのは当然でしょう。

Right of use

You are allowed to use the Product solely:
(i) to develop, demonstrate and evaluate the use of eye tracking in interaction applications; and/or
(ii) for private, non-commercial recreational use.

The Product is not intended for and you shall not use the Product for any other commercial or personal purposes, such as for example the study of human behavior or other forms of analytical use or for any high risk use, including but not limited to, medical, military, avionics, power generation, industrial or commercial equipment.

The Store sells Products to end-user customers only.
You may not purchase Products at the Store for resale, and we reserve the right to refuse or cancel your order if we have reasonable grounds to believe that the Product is not being purchased by you for end use or in violation with any laws.

使用権

あなたは，本製品を以下に限って使用することを許可されます。
(i)開発・デモンストレーション・インタラクションアプリケーションにおける視線入力の評価
(ii)私的，非商業的レクリエーション

本製品は，その他のいかなる商業的，または私的目的に使用するために意図されたものではなく，あなたは上記に許可された以外の用途，例えば，人間行動の研究，または，その他の形の分析的使用や，医療用・軍事用・航空用・発電用・産業用または商業用の機器に用いるといったハイリスクな使用をしてはいけません。

本ストアはエンドユーザーにのみ商品を販売します。あなたは販売目的で商品を購入していないでしょうが，もし本製品がエンドユースのために購入されたものでない，または何らかの非合法性があると認める合理的理由が存する場合において，本ストアは本件購入申し込みを拒否，またはキャンセルする権利を留保します。

視線入力は直接的な操作をもたらす機能以外にも，少なからず分析的な応用が期待されます。
(i)で「視線入力の評価」が含まれているのはそのためでしょう。
たとえば，ゲームで使うにも，上級者と初級者の視線の動きの違いを評価するには，分析的な評価機能が必須だからです。

ここには，教育や福祉目的用途についての具体的な記述はありませんが，いずれも分析的な評価機能は必要なものです。
一方で，具体的に示されていない用途においては，禁止された用途や安全性に関わるものでなければ許容されると考えることもできます。

海外に目を向けてみますと，EyeXに対応した優秀なフリーソフトとして，視線キーボードのClick2Speak （HP・Facebook）や 視線コミュニケーションツールのGazeSpeaker などがあります。
現在も改良が続いていることを考えると，フリーソフトに対応した障害者用支援機器として使うのは黙認されているようです。

本件については，一度スウェーデンの本社に確認を取ろうと考えています。
まずは，視線入力訓練ソフト EyeMoTやEyeMoT 3D についてです。

英語翻訳は，菊田諭氏に協力してもらいました。